みなさま、こんにちは!
今月師走、本当に毎日が早いと感じている宮本です。
お帰りの際に「良いお年を!」と声を掛けてくださる方がいらっしゃると、
あたたかい気持ちになると同時に「もう今年も終わりか…」と焦りも感じております。
さて、本日は患者様を診ていると、本当によくある症例のお話です。
日常のブラッシングから起こると考えられることについてです。
・歯磨きで、歯肉退縮が起こるのか?
歯肉退縮とは、歯の周りの組織がすり減り、歯根が露出した状態のことをいいます。
歯肉が歯頸部(歯と歯茎の境目側)方向に下がり、
歯根(セメント質)が露出して来ることをいいます。
歯肉が退縮すると、歯ぐきと歯の間に隙間が生じ、お口の問題の原因となる細菌に
感染し易くなります。
私は歯科衛生士の資格を取得する際、学校では、歯ブラシのかけ過ぎや、
強圧(ゴシゴシ磨く)により起こるものだと習いました。
これと同様に、歯頸部の歯質がくさびを打ったように削れる、くさび状欠損(WSD)も起こります。
これらは単独で起こることもありますが、歯周疾患の一症状として、同時に起こる場合もあり、
その原因は単純なものではなく、複合的な要素を持っているといえます。
くさび状欠損に関しては、機械的刺激(歯ブラシの擦りすぎ)よりも、咬合圧による歯の歪みから起こるという考え方が有力とされているようです。
特にくさび状欠損の多い、犬歯、小臼歯では、歯の長軸に対して斜めの方向の側方圧がかかりやすく、物理学的に作用点となる唇側や、頬側の歯頸部に応力が集中することからも明白とされているとのことです。
試しに、上下の歯を噛み合わせながら右または左方向にあごを移動してみてください。
犬歯(真ん中から数えて3番目)か、小臼歯(真ん中から数えて4、5番目)だけしか、接触しないはずです。
咀嚼時には、顎は複雑に動き(特に磨りつぶし)、垂直方向だけではなく、上記のような力がかかるというわけです。
特に問題があるのは、睡眠時の歯ぎしりと、無意識の食いしばりです。どちらも咀嚼時以上に歯に集中した力がかかるので、くさび状欠損や咬耗(歯の削れ)が起こりやすいです。
これを裏付けるものとしては、古代人のくさび状欠損が挙げられます。
歯ブラシなどなかったであろう環境の縄文人をはじめとした、古代人の遺骨に残された歯からもくさび状欠損が見つかっている、というデータがあるそうです!
歯肉退縮に関して、初期の軽度なものでは機械的な原因がまず考えられます。
強い刺激に対する肉体の逃避行動ともいえるものです。
しかし、歯肉退縮が1mm以上のものになると話が違ってきます。
歯肉の下にある歯槽骨の吸収(骨が溶ける)を伴うことになります。
歯肉への強い刺激だけで歯槽骨が吸収を起こすということが説明できません。
この場合は先に挙げた【くさび状欠損】と同様に、歯周疾患や咬合の異常が考えられます。
どちらもセメント質や象牙質の露出を伴い、多くの場合は象牙質知覚過敏症がみられます。
寒い冬の時期、知覚過敏の症状があると、歯を磨く際のうがい等辛くなりますよね。
過去のブログや豆知識にも登場していますが、くさび状欠損や、食いしばり対策の
マウスピース等は当院で処置が可能です!
当院に来院してくださってる方はもう馴染みがあると思いますが、くさび状欠損は虫歯ではないので、歯を削ることなくすり減ってしまった箇所の補修を行うことができます。
マウスピースにも種類がありますので、ご興味があればご紹介いたします。
ブラッシング圧を含めた、適した歯ブラシ方法についてもお話いたしますので、いつでもご相談くださいませ。
宮本でした!