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究極の歯科治療に向けて、その2

皆さま、こんにちは!
院長の金村です。

あっという間に12月も中盤、今年ももうすぐ終わりですね。

ブログで毎週のように参加・紹介している技術系セミナー、今週も皆さまのご期待通り
行ってまいります(笑)。

今回は、わたくしが比較的得意としている根の治療セミナーです。
「自分で得意と言っておきながら、なぜセミナーに参加するの?」と思われた
賢者の皆さま、決して週末自宅に居たくない病ではございません(笑)。

歯科治療に関しての技術革新は、本当に日進月歩で進化しております。
わたくしが東京医科歯科大学歯学部2年生だったころでしょうか(約28年前)、
根の治療分野で3つ革新的なことがありました。

1つ目は、それまでは脳外科等で使用されていた手術用顕微鏡を歯の根の治療に応用、
2つ目は、ニッケルチタンを原材料として開発されたヤスリ(ファイル)の登場、
3つ目は、当時、東京医科歯科大学歯学部第3保存講師であられた小林千尋先生が、
(わたくしたち学生実習のヘッドライター)超精密な電気的根管長測定器(ルートZX・モリタ社製)を設計・開発・販売

されたことが挙げられます。

(余談ですが、ルートZXでパテントを取得し販売権をモリタに有償で譲り渡した小林先生、得た報酬で国立大学の駐車場には似つかわしくない黒いポルシェ911でご出勤されるようになりました(笑)。)

見えないところを手さぐりで治療していた頃に比べると、遥かに
ハイクオリティーな治療が可能となりました。

学生の頃、付属病院の5Fフロアに1台しかなかった手術用顕微鏡でしたが、
臨床実習で根の治療を教えて下さった井澤常泰先生(現在、初台にて根の治療専門医としてご開業されており、何を隠そう、わたくしの右上6番目の神経の治療をして下さった主治医でもあります)が、そっと使わせて下さったこと、未だに強烈な体験として覚えております。
またその後、当時日本では最先端であった手術用顕微鏡を使用した根の治療を、自ら患者として実体験出来て(笑)本当に良かったです。

顕微鏡を使いながら治療をしていくと、色々なものが見えてきます。
代表例ですが、上の大臼歯は根が3本なので神経が入っている管も3本と思いきや・・・
第4番目の根管も結構有ります。
(この写真では見易いように拡大しておりますが、最初のアプローチで
根管口(入口)を肉眼で確認するのはまず不可能です。)

こちらの患者さまは、他院で何度も通い根の治療をしているにも拘わらず違和感や痛みが全く引かずお困りだったところ、通院されている患者さまからのご紹介でいらっしゃいました。
汚染物質が神経の管の中に残った状態で、何十回と治療しても治りません。被せ物も含めると20万円ほどお支払頂きましたが、心から感謝され、大切なご家族もご紹介頂けるファン患者さまになって下さいました。本当に有り難い話です。

また、良く見えるのは良いのですが、当然ながら視ただけでは治療は進みません(笑)。
皆さまもご経験がお有りかと思いますが、根の治療というと。。。

歯医者が無理やり口を開けさせーの、
先の尖ったものでなんかぐりぐり回しーの、
いつ終わるかも教えられないまま取り敢えず通院しーの、

をイメージされると思います。(僕も幼少のころ同じ経験を何度もしております)
実は、歯医者が手で回すファイルと呼ばれるヤスリは殆どが
ステンレスで出来ております。
ステンレスは安価で良いのですが、決定的な致命傷として、もともと真っすぐに作られた場合
回しても何しても真っすぐになろうという性質がございます。

神経が入っていた管は3次元的に曲がっており、手でのみ使うファイルだけでは
中を完全に綺麗にすることは到底出来ません。

治療後の写真ですが、

例えば下の歯。。。

上の歯。。。

こんなに先が曲がっていたとしても、HPでご紹介しているニッケルチタン製ヤスリを使うと、
本来の管の湾曲に沿って治療を完了させることが出来ます。

前置きが非常に長くなりましたが・・・
明日のセミナーは最新ニッケルチタン製ファイルを実際に動かす
ハンドピースの勉強会です(笑)。

高々ヤスリ、されどファイル。
世の中広しといえど、人様の体を傷つけて感謝される職業は、
外科医と歯医者のみと聞いたことが有ります。

実はこのハンドピースですが、日本に上陸して間もない頃、三金さんのご厚意で
デモ品を触らせて頂きました。現在私が愛用しているこれとの違いを確認するためです。

わたくしの愛機と違いですが、

コードレスになったこと、
ヘッド部がチタン製になってシームレスになったこと、
患者さま情報を登録出来、どれ位のトルクで何回転まで回したか詳細に記録出来ること、

等、有りました。
新しいモノ好きなわたくし、思わず買っちゃいそうになったのですが・・・
いかんせん、重い!!!(と言っても、15gほどですが)
微妙な感覚を頼りにしながら治療しているわたくしには、たとえ15gでも違ってしまうと
かなりのストレスになる予感・・・
わたくしの愛機、ヘッド部分のみ日本製(ナカニシさん)、今回のヘッドはドイツ製。
改めて、日本のモノづくりの凄さを実感しつつ・・・
でも、根の治療分野の最新機器が欧米に比べて未だ10年以上遅れてしまっている本邦、
(日本で唯一、根の治療用器具で頑張っているモリタさんに、もっともっと期待しております!)

皆さまご存じなように、根の治療の保険点数は極めて低レベルに設定されており、
純日本製でファイルを含め設計・開発しても、日本の臨床現場で採算が取れないため、
全く売れない現状が有ります。

当院では、全ての器具をディスポで使用し、わたくしが最後まで治療する場合
根の治療も自費診療となることはご承知おき下さいませ。

今日は丸々一日の研修なので、長時間使用してバージョンアップするかどうか決めてきますね!

皆さまの大切な体を触らせて頂く以上、技術革新に乗り遅れるわけには参りません(笑)。
より良い治療を目指して頑張ります!

院長の金村でした!